DX推進事務所として>

202310月1日

税理士法人令月会
代表社員税理士 飛田 春陽

 

1.会計事務所業界の現状について

近年のデジタル技術の革新により、私達の社会は大きく変化しており、企業においても組織運営や業務プロセスに大きな影響を及ぼしています。

会計事務所業界においては、2016年、経済産業省がフィンテックの活用促進を図るため、クラウド型会計ソフトの積極的な利用推進政策を打ち出し、その後、急速に普及しています。銀行口座等のAPI連携に始まり、記帳業務の自動化も進むなど、膨大な情報処理の一元効率化が図られています。

このような背景から、会計事務所の多くの業務は、一層デジタル化が進むと考えられ、単純作業に要する時間は大幅に減少することが見込まれます。
今後、業界の競争環境は大きく変化していくため、これまで以上に顧客に寄り添い、経営者の良き相談相手となる顧客伴走型に特化した経営スタイルが求められます。
そのためには、会計事務所自らがデジタル化に対応するだけではなく、DXの推進により新たな価値を創出していかなければ、顧客満足度を高めていくことはできないと考えています。

 

2.DX推進に向けてのビジョン

新たな価値を創出して顧客満足度を高めていくため、当法人では、ビジネスとデジタル化を一体的に捉えた経営ビジョン及びビジネスモデルを構築し、それを持続的な企業価値向上に繋げていく仕組みが必要と考えます。

そのため、当法人のDX推進は必須事項であることから、デジタル技術を積極的に導入・活用し、既存業務のブラックボックス化を完全排除するとともに、業務の効率化、最適化及び労働生産性を一層高めて参ります。

これにより、いわゆる税務コンサルティング全般における高度な付加価値サービスの提供と情報発信が可能になるものと考えています。

 

3.DX推進に向けた戦略

当法人は、部内業務のデジタル技術の推進により、効率化、最適化及び労働生産性を高めることで、顧客に必要な経営・財務に関する情報の早期発信、問題点の提示と解決策の提案、並びに、新たな付加価値サービスの創出を目指します。
具体的には、DX推進に向けて、以下のデジタル環境の構築に取り組んで参ります。

 

社内の情報共有体制強化】

会計事務所専用のグループウェアの導入により、スケジュール管理、期日管理、顧問先情報管理、業務報告書等について情報共有体制を構築して一元管理を行うことで、顧客対応の迅速化・品質向上に努めて参ります。

 

【業務効率化と生産性向上】

親和性の高いデジタルシステム同士の情報連携、業務の自動化やRPAによる属人化の排除、業務工程のマニュアル化・平準化・見える化により、効率化と生産性の向上に取り組んでいます。この取り組みにより、これまで以上に顧客との時間を確保し、顧客の抱える問題点の早期把握及び早期解決に繋げて参ります。

 

【電子申告の推進】

国税電子申告(e-TAX)及び地方税電子申告(eLTAX)を推進しており、申告や各種届出のデータによる一元管理・保管のほか、地方税については、各地方公共団体の窓口一元化による手続の簡素化を図っています。これにより、顧客情報の早期発信及びセキュリティ強化に繋げて参ります。

 

【紙廃止とデータ共有】

ペ-パーレス化により、コスト削減や環境へも配慮しているほか、安全性が実証されているクラウドシステムにより、顧客の財務・会計データを管理し、情報の一元管理及び共有体制を構築しています。

また、各顧問先との専用オンラインサービスを個別に構築し、各種データの受け渡しや申告書控えのアップロードを行うなど、顧客との情報共有体制を構築して参ります。

 

【コミュニケーションツールの強化】

WEB会議システムやチャットサービスなど、リアルタイムによるコミュニケーション環境を構築しており、テレワーク職員も含めた顧問先との意思疎通・情報共有体制の充実に努めて参ります。

 

4.DX推進に関する取組体制

 

【ビジョンの社内共有】

会計事務所の未来像を共有し、職員が一丸となって顧客視点での新たな価値創出に繋げていくため、現在の状況と目指すべき状況との乖離を認識し、解決すべき課題を交通整理できるよう、社内定期ミーティングを継続して参ります。

 

【推進PTによる取り組み】

「DX推進PT」を設置し、DXによる各セクションの個別最適化から始まり、最終的には全体最適化が構築できるよう、DX事業アイデアの集約・検討を図り推進強化に取り組んでいます。

 

【ITリテラシーの強化】

職員一人一人が、当法人の成長や競争力強化に寄与できるよう、DXに必要となるIT知識、技能及び情報活用能力の強化に向けて、社内研修体制を整備しています。

 

【ベンダー企業との協力体制】

DXを推進するに当たっては、当法人の取り組み課題に関して、各システム等を供給するベンダー企業からのアドバイスも参考にしながら、戦略の効果的推進に取り組んで参ります。

 

5.DX推進に向けた環境整備の方針

 

【効果測定と相乗効果】

導入した新システム相互間や既存システムとの連携状況について、効果測定を踏まえて最適な相乗効果が図られるよう取り組んでいます。

 

【更なるセキュリティ強化】

DXを推進する上で、サイバーセキュリティ対策も併行して実施していくことは非常に重要であることから、常に最新の対策にアップデートを行っているほか、最先端のデジタル技術を用いたいわゆるサイバートランスインフォメーションが進められるよう取り組んでいく計画です。

 

【新技術の試行・検証】

新技術が発表された際には、無償版等の試行・検証を踏まえ、当法人が求める環境が構築可能かどうかについて、各担当者から詳細にヒアリング等を行っています。

 

6.戦略の達成状況に関する指標

 

【工数分析】

DX化の前後における対象業務の効率化状況について、見える化を図るために担当者の日々の各業務時間から集計・分析を行い、DX化達成度の指標としております。

 

【電子申告利用率】

国税庁と地方自治体が推進している電子申告について、当法人のオンライン(電子申告)利用率を指標の一つに採用しております。

20239月現在 オンライン利用率 100.0%

 

【DX支援数】

当法人が、顧客に提案している「DXパッケージ(税務・会計・請求・経費・人事労務・勤怠のDX)」の支援数は、戦略達成度を測定する重要な指標でもあることから、顧客満足度の向上にも繋がることから重要施策として採用しております

 

7.DX推進のための情報発信


当法人における情報共有体制強化については、現在、グループウェアの導入により一元管理が実施できております。また、業務効率化と生産性向上に当たっては、クラウド会計を基幹とした親和性の高いシステム間の連携を実施しているほか、RPAの導入に向けた業務設計も併行して構築中です。
電子申告率100%も継続中であり、紙廃止に向けて各顧問先との専用オンラインサービスを個別に構築して、データ共有も開始したところです。コミュニケーションツールも構築し、意思疎通・情報共有体制を図っております。
このように、急速に進むデジタル技術革新の波に乗り遅れることのないように、顧客に対する新たな価値の創出に向けて、DX推進に鋭意取り組んでいるところです。
今後も、当法人のDX推進状況については、自社ホームページ上で代表社員税理士名により積極的に情報発信するとともに、毎月発行するニュースレター等においても、情報発信して参ります。
また、当法人がDX推進により蓄積したノウハウは随時開示していくほか、顧客の業務処理体制と親和性が高いシステム等については、積極的に導入提案・サポートをしていくことで、社会全体でのDX推進に寄与していきたいと考えています。

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